がいありませ

2015年09月23日

 あきれたようにききかえすヘンリー松村の顔を、金田一耕助はにっこり見ながら、
「ヘンリー松村君、この短刀をよく見たまえ。どくろ面の男がうしろから、万力君をつきさしたものなら、短刀は上から下へむかっていなければならぬはずだ。それだのにこの短刀は、下から上へつきあげてあります」
 なるほど、そういわれてみれば、その短刀は刃を上に、|柄《つか》を下に、三十度ほどの角度をもって、下から上へつっ立っているのである。
 ヘンリー松村は目をまるくして、
「そ、それじゃいったいだれが……」
「だれだか、ぼくにもわかりません。しかし、それがだれdermes 脫毛にしろ、そいつは舞台の上にいたんじゃない。同じ舞台にいたのでは、とてもこんな角度で、下から上へつきあげるわけにはいきますまい。これはだれか、舞台の下、見物席から……」
「投げつけたというんですか」
「いや、投げつけたとしてもすこしおかしい。それにこの柄、……これはアルミニュームですよ。とても軽くできています。ふしぎだ、どうもぼくにはわからない」
 金田一耕助は、ふしぎそうに小首をかしげていたが、ああ、もし、かれが津川先生の、あのきみょうなステッキを知っていたら。……ひょっとするとこの短刀は、津川先生のステッキから、とびだしたのではないだろうか。

 それはさておき、おりからそこへ楽屋の連中が、警察のDR-Max教材人たちをつれてかえってきた。
「警官、こいつです。こいつらがさわぎの張本人です」
 たぶんそれが楽屋主任なのだろう。タキシードをきた男が、いかりに声をふるわせながらヘンリー松村と万力の鉄を指さした。
 それをきいて警官が、バラバラとふたりのそばへよろうとするのを、
「まア、まア、待ってください」
 と、おしとめたのは金田一耕助。
「この人たちにはこの人たちで、なにかいいぶんがあるにちん。まア、それからきいてやってください。それから、だれか医者を。……この人は死んでいるのではありません。手当をすればたすかります」
 そういう耕助のすがたを見て、
「おや、あなたは金田一さんじゃありませんか」
 と、びっくりしたように、人をかきわけ、まえへ進みでdermes 脫毛た人物があった。耕助もそのひとを見ると、
「ああ、あなたは|等《と》|々《ど》|力《ろき》|警《けい》|部《ぶ》。それじゃこの事件はあなたのかかりなんですか」
 と、いかにもうれしそうに、モジャモジャ頭をかきまわした。
Posted by 時光輪回 at 13:15│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。